Problems クライアント課題
クライアントは、カメラやアプリ開発などの技術領域に強みを持つ精密機器メーカーであったが、既存の2C向けサービスの事業拡大に限界を感じていた。ビジネス拡張の新たな方向性として、法人向けのソリューション展開を検討していたものの、以下の課題を抱えていた。
• 技術力は高いが、ビジネス戦略や市場分析の知見が不足。
• サービス価値の整理やターゲット業界の特定ができておらず、展開可能性の評価が困難であった。
• グローバル展開に必要な市場動向の分析や、GTM戦略構築のノウハウが不足。
これらの課題を解決し、新たなビジネスモデルの確立を目指すため、本プロジェクトがスタート。
Process プロセス
本プロジェクトは、3カ月の設計フェーズと3カ月のPoC(概念実証)フェーズを経て、短期間でスピーディに進行。以下の支援を実施。
1. ビジネスモデルの評価
• 既存の2C事業から製品やサービスにおける提供価値を再整理し、その強みを明確化。
• サービスを法人向けのマーケティングソリューションとして再定義し、提供価値の具体化を実施。
2. 初期ターゲットの選定
• ビジネスモデルの評価を踏まえ、法人向けサービスにおける明確なターゲット顧客を選定。
そのうえでのニーズ分析と具体的アプローチ方法の設計。
3.チャネルと市場の選定
• 市場規模の精緻な算出(TAM/SAM/SOM分析)とターゲット像の構築を通じて、GTMロードマップを策定。
その際、国内外の市場動向(中国、欧州、米国、アセアン等)を分析し、グローバル視点でターゲットとなる市場を選定。
• ターゲット市場における競合状況や需要を詳細に分析し、重点市場を明確化。
4. コミュニケーション戦略と提供価値の明確化
提供価値を可視化の上、ターゲット顧客へのアプローチ方法を設計し、需要創出に向けた戦略を構築。
Result 成果
定量的成果
・グローバル市場での展開を視野に入れたロードマップを確立。
・プロジェクト開始から2年で、当初計画通りとなる数億規模の売上達成を実現。
定性的成果
・既存サービスの価値整理とターゲット設定を通じて、新たな顧客層へのアプローチ手法を確立。
・密なコミュニケーションと戦略的アプローチにより、クライアントの事業推進力を強化。
Interview 担当者インタビュー
担当者 山岡 寿成
大阪出身。2020年に株式会社Plus Synergyを設立。
新規事業および事業戦略を専門とし、エンタープライズの戦略構築から新規事業立ち上げまで、市場調査、戦略立案、GTM戦略策定等の全般的支援を実施。自身も事業を推進する立場から、クライアントと密なコミュニケーションを重視し、事業成功に直結するコンサルティングを得意とする。常に実践的かつ効果的なアプローチを心がけ、クライアントのビジョン実現に貢献している。
-短期間での市場分析とターゲット設定の難しさ-
今回のプロジェクトで最も難しかった点はどのようなところでしたか?
やはり短期間でグローバル市場の動向を分析し、精緻に初期ターゲットの設定を行う必要があった点です。
クライアントからは、急ぎのニーズがあり、設計フェーズを迅速に完了させる必要がありました。初期ターゲットの精度が新規事業の成功可否を左右するため、ここをぶらさずに設計することが極めて重要です。グローバル規模のGTM戦略構築のため、特に海外の市場を細かく分析しつつ、サービス価値を整理するプロセスは手間がかかり、ターゲット顧客ごとの課題やニーズを正確に把握するために多くの情報を集める必要がありました。
説得性のある根拠を示すため、TAM/SAM/SOMの算出にはかなり時間をかけましたね。
-戦略の明確化とコミュニケーションの徹底により導いたPJ成功-
事業計画通りに現在も結果が出ているとのことですが、プロジェクトの成功要因はどのような点だと思いますか?
初期ターゲットがしっかりと刺さったことが事業成功の大きな要因だと思います。
既存の2C事業の価値をしっかりと整理し、法人向けサービスとしてアプローチの仕方をうまく組み立てられたことが良かったと思っています。
先述の通り、ターゲット・市場選定フェーズでは市場規模や競合状況を精緻に数値化して据えることができましたし、更に、クライアント様との綿密なコミュニケーションにより、途中でプロジェクトの方向性を見失わずに進めることができました。
具体的には、どのようにコミュニケーションを意識していたのですか?
クライアント様も非常に主体的に参加してくださったので、説得性ある戦略案の提供・構築をしていくため、基本的に週1回はミーティングを設定しコミュニケーションに特に力を入れていました。齟齬が生じないよう、相手の想いや考えを引き出しながら、自分としての論理的・客観的判断を伝えることを心掛けました。
ミーティング以外では、アイディアがまとまった際にはすぐにメールで提案を送るなどして、相手の反応を見ながら軌道修正を行っていきました。このように密なコミュニケーションを続けることで、共通理解を深めながら柔軟に戦略を構築していくことができました。
-論理と発想のバランスを活かしたアプローチ-
このプロジェクトにおいて、ご自身の“強み”はどのように活かされましたか?
「論理と発想」という、一見対極に見えるものをバランスよく使い分けることができるという、自分の強みが活きたと思っています。
ずっと大事にしている価値観ではあるのですが、今回のプロジェクトにおいては、自分自身が事業を運営しているという経験に基づきながら、実際に組み立てた戦略やアプローチが機能するかをリアルに想定して進めていきました。経験や発想に基づく仮説を出し、それをロジカルに検証するというプロセスを繰り返したことで、ターゲット像を明確化し、アプローチ戦略を練ることができました。
「コンサルティングワークすぎないクライアントワーク」
これは自分がどんな案件においても大事にしているポリシーのようなものです。
ロジカルな分析は、コンサルタントとして非常に重要なタスクですが、一方でコンサルワークに寄りすぎると、感覚的にその事業がうまくいく・いかないの判断が見えづらくなることがあります。
クライアント様との密なコミュニケーションをベースとしながら、相手の想いを引き出しつつ、そこに自分の論理的判断・発想力から構築できるアイディアをのせて戦略を構築していく。これが自分の得意とするスタイルです。
-今後の展望-
今回の経験を踏まえ、今後はどのような目標をお持ちですか?
今後は、当社として新規事業領域の強化を進めるとともに、クライアント様のDX推進や業務効率化など広範な課題に対しても積極的に取り組んでいきたいと考えています。
個人としては、新規事業領域をメインに、業務効率化やDX、計画策定、IT領域といった幅広いテーマに関わる支援を強化していきます。
特に業界特化型LLMの可能性に大きな期待を寄せており、ビジネスに活かすための支援にも積極的に取り組んでいきたいです。